
健康診断の結果が届いたとき、皆さんはどのように確認していますか。「今年も大きな問題はなさそう」と安心して、そのまま保管している方もいれば、「基準値から外れている項目があるけれど、何をすればよいのだろう」と迷っている方もいるかもしれません。
健康診断は、普段の生活では気づきにくい体の状態を確認する機会です。ただし、結果に書かれた数字だけを見て、自分で病気の有無や原因を判断することはできません。検査結果と一緒に記載されている判定や、再検査・受診の案内まで確認することが大切です。
今回は、肝機能に関する検査をきっかけに、食事や飲酒、体を動かす習慣を見直す方法をご紹介します。あわせて、植物由来のハーブやサプリメントについて、知っておきたい基本的な考え方もお伝えします。
1.健康診断の結果は、数字と判定を一緒に確認しましょう
結果表を開いたら、まず確認したいのは、医療機関への相談や追加の検査が必要とされているかどうかです。
「要再検査」「要精密検査」「要受診」などの記載がある場合は、案内に沿って対応しましょう。自覚症状がないことを理由に、そのままにしないことが大切です。
例えば、肝機能に関連する検査項目として、ALT、AST、γ-GTPなどがあります。一般向けの受診の目安として、ALTが30を超えている場合は、かかりつけ医などへの相談が勧められています。これは病気を確定する数字ではなく、原因を確認するためのきっかけです。
受診するときには、今回の結果だけでなく、過去の結果も持参するとよいでしょう。また、普段飲んでいる薬や、利用している健康食品・サプリメントの情報も、相談時に伝えられるようにしておくと役立ちます。
健康診断の結果は、良い・悪いを自分だけで決めるためのものではありません。今の状態を知り、必要な確認や生活の見直しにつなげるために活用しましょう。
2.体調だけで判断せず、必要な確認につなげることが大切です
「食欲もあるし、仕事もできているから大丈夫」と感じていても、健康診断で確認が必要な項目が見つかることはあります。肝臓の病気には、初期の段階で自覚症状に乏しいものもあるため、体調の良し悪しだけで判断しないことが大切です。
また、検査結果が気になるからといって、すぐに特定の食品やサプリメントを探す必要はありません。先に行いたいのは、結果表の判定を確認し、必要に応じて医療機関に相談することです。
生活習慣の見直しも大切ですが、それだけで検査や診察の代わりにはなりません。医師から指示を受けている場合は、その内容を基本にして取り組みましょう。
結果が気になったときこそ、「何かを足す」前に、現在の食事や飲酒、活動量を落ち着いて振り返ることから始めてみてください。
3.食生活は、一つの食品よりも毎日の組み合わせを見直しましょう
健康のために食事を変えようと思うと、「何を食べればよいのか」に目が向きがちです。しかし、特定の食品だけに頼るより、普段の食事全体を確認するほうが、具体的な見直しにつながります。
例えば、主食だけで食事を済ませることが多くないか、肉や魚、卵、大豆製品などを取り入れているか、野菜を使ったおかずがあるかを振り返ってみましょう。
難しい献立を用意する必要はありません。ご飯やパンなどの主食に、主菜と副菜を組み合わせることを意識すると、食事の内容を考えやすくなります。
外食や持ち帰りの食事でも、「主食だけになっていないか」「追加するなら、どのおかずがよいか」と考えることはできます。毎回完璧に整えるよりも、無理なく続けられる選び方を見つけましょう。
食べる内容に加えて、量や間食、飲み物にも目を向けたいところです。甘い飲み物を何度も飲んでいないか、食後の間食が習慣になっていないかなど、まずは数日間の食生活を書き出してみると、見直したい点が整理できます。
脂肪肝に関する食事の情報でも、食事量や食品の選び方、糖分の多い飲み物などに注意することが挙げられています。診断を受けている方は、自己流の制限を始めるのではなく、医師や管理栄養士の助言に沿って調整しましょう。
4.飲酒習慣は、回数と量を具体的に振り返りましょう
お酒を飲む習慣がある方は、「飲み過ぎていないつもり」という感覚だけでなく、実際に飲んだ量を確認してみましょう。
いつ、どのようなお酒を、どのくらい飲んでいるか。自宅で飲む分だけでなく、外食や会食のときも含めて振り返ると、普段の習慣を把握しやすくなります。
食事と同じように、まず記録するところから始めても構いません。「平日は飲まないが、週末に量が増える」「帰宅後に何となく飲んでいる」など、自分の生活に合った見直しのポイントを探してみてください。
肝機能の検査結果について指摘を受けている方や、肝臓の病気を診断されている方は、飲酒について医師に確認しましょう。脂肪肝に関する公的な情報でも、飲酒は医師と相談すべき事項とされています。
ハーブやサプリメントを摂れば、飲酒による影響を帳消しにできると考えることは避けましょう。飲酒習慣そのものを確認することが先です。
5.運動は、今の生活に取り入れられる方法から
生活を見直すとき、食事とともに確認したいのが、日常で体を動かす機会です。
運動というと、長時間のトレーニングや特別な道具を思い浮かべるかもしれません。しかし、最初から大きな目標を立てる必要はありません。普段の生活の中で、どのような動きなら続けられそうかを考えてみましょう。
例えば、近所を短時間歩く、家事の合間に体を動かす、座り続けている時間を振り返るなど、取り組み方はいろいろあります。自分の体力や体調、仕事の状況に合うものを選ぶことが大切です。
脂肪肝に関する情報でも、身体活動は生活習慣を見直す際の要素として挙げられています。ただし、持病がある方や運動の制限を受けている方は、医師の指示を優先してください。
「毎日必ず長く歩く」と決めるより、「無理のない日に、できる範囲で始める」と考えるほうが、自分に合った習慣を探しやすくなります。体調が悪い日に無理をしたり、急に運動量を増やしたりする必要はありません。
6.睡眠や生活時間も、見直しの記録に加えてみましょう
食事や運動を振り返る際には、就寝・起床の時間や、食事を取る時間も一緒に記録してみましょう。
仕事が忙しいと、食事の時間が不規則になったり、夜遅くまで作業を続けたりすることがあります。「気をつけよう」と思っていても、何を変えればよいか分からない場合は、数日間の生活を書き出すと整理しやすくなります。
記録する内容は、細かくなくても構いません。寝た時間、起きた時間、食事の時間、飲酒の有無、歩いたかどうかなど、続けられる項目に絞りましょう。
ここで大切なのは、生活の記録を検査結果の原因と決めつけないことです。「寝不足だったから数値が高かったのだろう」と自己判断して、必要な受診を後回しにしないようにしてください。
記録は、自分の生活を知るためのものです。医療機関で相談するときに、普段の様子を説明する材料としても活用できます。
7.ハーブを知るときは、植物の情報と効果の情報を分けて考えましょう
植物由来の素材に関心がある方は、ハーブの名前を見聞きする機会もあるでしょう。ハーブにはさまざまな種類があり、使われる部位や加工方法も一様ではありません。
また、「昔から利用されてきた」という歴史と、「現在の研究で特定の効果が十分に確認されている」ということは別です。研究が行われていても、その結果をそのまま市販の食品やサプリメントの効果として受け取ることはできません。
ハーブ系サプリメントの科学的根拠は素材によって異なり、明確な結論を出すには情報が不足している場合もあります。利用を考えるときは、期待できることだけでなく、安全性や不明な点も確認する姿勢が大切です。
ここでは、リーフレットに登場する三つのハーブについて、基礎知識をご紹介します。
マリアアザミ(ミルクシスル)
マリアアザミは、ミルクシスルとも呼ばれる植物です。紫色の花をつける植物で、抽出物に含まれる成分群として、シリマリンが知られています。
肝臓に関する研究も行われていますが、人に対する効果について確かな結論を出すには、質の高い科学的根拠が十分ではありません。そのため、「肝機能の数値を改善する」「肝臓の病気を治す」といった効果を期待して利用することは適切ではありません。
素材名や成分名を知ることは、表示を読むための手がかりになります。ただし、成分の含有量や濃度だけを見て、自分に適しているか、より有用なのかを判断しないようにしましょう。
ホーソン(セイヨウサンザシ)
ホーソンは、セイヨウサンザシとしても知られるバラ科の植物です。「ホーソンベリー」という言葉は、その果実を指します。
葉、花、果実など、植物のどの部分を利用するかによって、素材の内容は異なります。ハーブ名が同じでも、利用部位まで確認することが大切です。
心臓や血管に関する研究がありますが、研究結果は一様ではありません。食品やサプリメントを摂ることで、血圧や血流が改善すると決めつけたり、治療の代わりにしたりすることは避けましょう。
セイヨウタンポポ(ダンデライオン)
セイヨウタンポポは、ダンデライオンとも呼ばれる植物です。花や葉、根などが伝統的に利用されてきた歴史があります。
一方、人の健康に対する働きについては研究が少なく、特定の健康上の問題に役立つことを裏づける十分な科学的根拠はありません。
「糖や脂質の代謝を改善する」「中性脂肪を下げる」といった説明を、一般的な食品の効果として受け取らないことが大切です。植物の利用の歴史を知ることと、自分の検査結果への効果を期待することは分けて考えましょう。
8.「天然だから安心」とは限りません
ハーブを選ぶときに、気をつけたいのが「植物由来なら、誰でも安心して使える」という思い込みです。
植物由来の素材であっても、体質に合わない場合があります。また、薬との組み合わせに注意が必要なこともあります。妊娠中・授乳中の安全性について、情報が十分でない素材もあります。
薬を服用している方や通院中の方は、利用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。相談するときには、ハーブの名前だけでなく、原材料や摂取目安量が分かる表示を見せると、内容を伝えやすくなります。
複数の健康食品を利用する場合も、原材料が重なっていないかを確認してください。多く摂ればよいとは限りません。表示された目安量や注意事項を守り、利用後に体調の変化があれば、使用を中止して相談しましょう。
9.健康食品は、食生活や医療との関係を考えて利用しましょう
サプリメントや健康食品は、日々の食生活を考える際の選択肢の一つですが、病気の診断や治療の代わりになるものではありません。
健康診断で指摘を受けた項目がある場合、「まずサプリメントで様子を見よう」と考える前に、結果表の案内に沿って行動しましょう。医師の指示で服用している薬を、自己判断で減らしたり中止したりすることも避けてください。
健康食品を検討するときは、広告の印象や体験談だけで選ばず、原材料、利用目的、注意事項を確認することが大切です。自分の食事や生活のどの部分を見直したいのか、先に整理しておくと、必要性を考えやすくなります。
「これを摂れば安心」と考えるより、食事、飲酒、活動量、医療機関での確認を含めて、自分の健康管理を考えていきましょう。
10.健康診断を、続けられる習慣を見つけるきっかけに
健康診断の結果が気になると、生活を一度に変えたくなるかもしれません。しかし、最初に行うことはシンプルです。結果表の判定を確認し、必要な受診や検査につなげること。そのうえで、普段の生活を振り返ってみましょう。
食事の組み合わせを確認する、飲酒の量を書き出す、無理のない範囲で歩く時間をつくる、生活時間を記録する。まずは、取り組めそうなことを一つ選んでみてください。
ハーブについても、素材の特徴や利用の歴史を知りながら、科学的に分かっていることと、まだ分かっていないことを区別する姿勢が大切です。検査値の改善や疾病への効果を安易に期待せず、安全性を確認したうえで考えましょう。
健康診断の結果は、不安を抱えたまま保管するためのものではありません。今の体の状態を確認し、必要な相談と、続けられる生活の見直しにつなげるために役立てていきましょう。


